第53章 小泉さんは優しくてすごい

その夜は、南雲玲奈がどうしてもと言い張ったため、両親は結局この家に泊まることになった。

翌朝早く。

玲奈が目を覚ますと、窓の外からかすかに、のびやかな音色が流れ込んでくる。

慌てて起き上がり、カーテンをしゃっと開けて下を覗くと――庭で香澄がハーモニカを練習していた。

そのそばには、両親の姿もある。

ちょうど一曲吹き終えたらしく、二人は大げさなくらい手を叩いて褒めちぎっていた。

「香澄、すごすぎる! ハーモニカなんて、もうこんなにすらすら吹けるの? すっごく綺麗……!」

母――南雲静佳が興奮気味に言うと、父――南雲芳樹も嬉しそうに頷く。

「おじいちゃんも大好きだぞ。香澄、えらい...

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